神田さん好きに20のお題




5:死ぬということ




自分が「死ぬ」なんてことは
今まで考えた事も無かった。
まだ老衰するような歳でもなければ
イノセンス適合者、という事もあり、
そこらに居るような連中にはやられるはずが無い。

ましてや

AKUMAなんてやつらに殺られるのはごめんだった。
六幻さえあれば。
こいつさえあれば、俺はどんな奴だって
たとえ独りででも蹴散らしてやる。
そう思っていたから。
















「まんまと殺られたな、お前」















俺とした事が
トマと摩り替わっていたAKUMAに気付けなかった。
殴られた衝撃で六幻も手放してしまい
いわゆる絶体絶命、というやつであるというのに。





「・・・はっ!」





何故か自分の口からは嘲笑いが零れた。
次の瞬間、身体中に凄まじい熱が走る。


痛み、というより熱かった。


だんだんと、熱が全身に広がっていく。
ああ、熱い…
頭まで熱に侵され始め、意識も朦朧としていた。
身体が震えている。
熱のせいだ。






いや、違う。






忘れかけていた。
こんなもの
六幻を手にする前…ガキの頃に感じた以来。











…恐怖…

でも、何故…?
















「アレ?死ねよ!」













また、殴られる。
…死ぬ?…俺が?











「死ぬかよ…」






あぁ、そうだ。






「俺は…あの人を見つけるまで死ぬワケにはいかねぇんだよ…」







不意に目の前が闇に包まれていく。
あぁ、本当に、死ぬのか…?
こんな所で…
「あの人」を見つけられないまま…












…本当に?
いや、違う。
本当は…
本当に…怖いのは…














嫌だ。

イヤダ。










急激に意識が遠のいていく。













誰か。

…ダレカ、タスケテ…











「俺は…」





















俺は…
まだ死にたくない…。







































「神田!!」
































誰かが
呼ぶ声が聞こえた気がした。

神田さん好きに20のお題より。
お題っていうか、ただ12夜をなぞっただけなんじゃ…(汗
私なりの解釈と希望、もとい願望を詰め込んだ。
ただ一つ、怪我をしたら痛いって言うよりも熱いって話。
書き直す可能性大…かも。

お目汚し失礼。
煌。